おはようございます。
質問に入ります前に、ひと言。
先の区立保育園園児の死亡事故に関しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
では、せたがや政策会議の代表質問に入ります。
1 防災対策について
まず初めに、防災についてお尋ねいたします。
我が会派も主張してまいりました、「防災と言ったら、まずは減災」ということが、議会でも定着してきたように思います。そして、「減災」と言えば、1にも2にも「耐震補強」である、ということは、これまでにも再三申し上げてまいりました。
耐震補強に関しては、本会議初日の、他会派の質疑の中で、「耐震補強の助成について、様々検討を始める」という答弁がありましたが、これは、世田谷単独でできることではありませんので、国の動向はどうなっているのか、ということと併せて、区の今後の取り組みに対する見解をお聞かせ下さい。
また、我が会派では、「地震は必ず来る」という認識に立って、防災関連の質問をしてまいりましたが、その直後の10月23日に、新潟中越地震が起きました。
この震災で被害にあわれた方々の生活再建と、地域が一日も早く復興できますよう、心よりお見舞い申し上げます。
続けて、本日午前3時32分ごろ、北海道釧路沖を震源とする強い地震が、釧路町他であり、震度5強を観測したということです。マグニチュードは7.1.状況はまだあきらかではありませんが、被害の少ないことを祈るばかりです。
「地震は必ず来る」のです。行政も、次は東京だ、と、心を引き締めて対策に取り組んでいただきたいと思います。
さて、新潟中越地震が起きた翌日からは、NHKが教育チャンネルを使って、被災者の「安否確認の問い合わせ情報」を放送したと聞いております。
私は、海外姉妹都市交流の派遣で、日本にいなかったため、それ自体は見ていないのですが、伺った話によりますと、安否を確認したい人の氏名と、誰が確認したいのかが、画面にスクロールして、長時間に渡り放送されていた、とのことです。
震災発生後、電話が通じにくい中で、自分の親や子どもが、親戚が、友達が無事でいるのか、早く知りたい、というのは当然のことでしょう。阪神・淡路大地震震災の経験が、NHKの対応に生かされた結果である、と思います。しかし、これは、知りたい情報がいつ出てくるのかわからないため、ずっと画面に貼り付いていなければならず、せっかく流した情報であっても、機能していなかった、と、批判されてしまったほどでした。
こうした安否確認情報は、NTT東日本の“災害用伝言ダイヤル「171」”やNTTドコモの“iモード災害用伝言板サービス”などもありますし、新潟県でも、県のホームページに『被災者登録検索システムを利用してください』とのメッセージを出し、独自の方法で被災者の安否情報の登録・確認を行なっています。
では、東京で地震が起きた時、はたして、こうした安否確認の情報はどうなるのか。
首都圏直下型の地震の場合、帰宅困難者は約530万人とも言われている中で、世田谷区の「災害時区民行動マニュアル」にあるものでは、実際、機能しそうにありません。新潟県のように、自治体が各々に、安否情報の提供・確認を行えるシステムが必要である、と考えます。
新潟県では「被災者登録検索システム」という、総務省系の独立行政法人と民間企業が共同して構築したシステムを、利用した、とのことですが、これも一つの方法であると思います。
最新情報としては、前述しました、被災者の安否確認に威力を発揮した、携帯電話の「災害用伝言板」サービスが、総務省の要請で、来年から、携帯電話会社、大手3社間でシステムが共用化される見通しになった、ということです。
このような状況を踏まえて、伺いますが、災害時の、区民の安否確認の情報提供について、区としてはどのように考えているのか、お聞かせ下さい。
併せて、災害時のIT活用は、安否確認だけでなく、重要なものとして、避難所や支援物資の情報提供なども、行政として責任を持ってやっていかなければならないものと考えます。新潟では、空いている避難所がありながら、被災者にうまく情報が伝わらず、暗い中を、荷物を持ったまま、どこへ行っていいかわからず、行ったり来たりしていた人がたくさんいた、ということです。各避難所の状況が伝えられるような態勢を整えておくことの必要性を、強く感じました。
同じように、支援物資に関しても、アンバランスな配給だったことが問題となりました。こうした情報提供ができるよう、区でも早急に取り組んで頂きたいと考えますが、区の見解をお聞かせください。
もうひとつ、決算委員会におきまして、私が質問した折りに、「所管を超えての防災会議を招集した」という答弁がありました。その会議はその後、新潟中越地震もあったわけで、どのような進捗状況にあるのか、お答え頂きたいと思います。
2 官から民への流れについて
次に、“官から民へ、中央から地方へ”の流れの中で、区政において、現在、具体の問題となっていることを含め、質問を致します。
このことは、端的に申しますと、公務員が税金を使ってやっていることのうち、民間でもできることは民間にやってもらおう、ということです。
8時15分〜5時15分という時間の範囲であれば、公務員に任せるのが一番効率がよく、信頼できる、という部分も確かにあります。しかし、時間外の仕事となったら、時間外手当、特別手当などの費用は、民間では考えられないくらいの膨大な費用、つまり税金がかかってしまいます。それが、コストの問題です。しかし、コスト面だけでなく、公務員制度の限界、ということでは、実はもっと基本的なことがあると考えております。
日本の戦後の経済発展にあたっては、所管の官庁が、業界ごとにビジョンを提示し、個々の企業は、そのビジョンに沿って経営努力を積み重ねる、という流れがありました。いわゆる護送船団方式が機能していた日本の高度経済成長期のことです。
しかし、今となっては、官僚や役所の「予定調和的な発想」は、産業ビジョンに限らず、社会保障や福祉の分野にも破綻をきたしています。年金、医療、介護、ほかすべて、当初の官僚や役所の予定調和的ビジョンを大きく踏み外していることは、皆様もご存知の通りです。
例えば、現在の介護保険制度において、積極的な介護によって利用者の日常生活動作の改善が為された場合、成功報酬というものが設定されていません。つまり介護度を下げる努力をすればするほど、成果を上げれば上げるほど、事業者は介護度が下がった分、受け取る報酬が少なくなり、やればやるほど自分の首を締めることにつながるわけです。
このように、官僚や役所の指導というものは、独善的なところがあり、市場経済、市場動向というものを全く無視しています。市場動向とは、突き詰めれば個人個人の消費ニーズであり、もっと言えば、おカネの使い方です。官から民への流れとは、実は官僚やお役所のおカネの使い方と、我々普通の区民のおカネの使い方が余りにも違いすぎる、このことが基調となっているのです。先頃決まった三位一体の改革もその流れにあります。
すなわち、今の事態を打開するには、あわせて、より区民ニーズに応えるには、官から民への流れはとめられない、というところに来ている、と考えます。区長の見解を伺います。
続きまして、具体の問題に入ります。
皆様もご存知の通り、世田谷区では、現在、「幼保一元化新型施設」の構想が練られています。このことに関しては、区立幼稚園はそのままであってほしい、と願う区民の方々と、私個人も、また会派としても、十分、当初の段階でお話し合いをさせていただき、就学前の子どもたち全体の状況から、幼稚園機能を継承し、さらに充実した教育環境を整える、という考え方はきちんとお伝えできていると確信しております。
すでに、私たちは内容や質の論議に移ったと考えておりますし、むしろ、よりよい施設の実現に向けて、前を向いて議論を進めるべきだと考えております。この点に関しまして、区の認識を、今一度、確認したいと思います。
その上で、内容の議論に入りますが、一元化で保育園機能も入れる、ということであれば、当然、「ゼロ歳児から募集」が望ましいと思われますが、今回、会派として申し上げたいのは、当初段階では、とにかく、世田谷区で最初のことでもあるので、当面、3歳?5歳児ぐらい、つまり、幼稚園児の年齢を対象にスタートすべきではないか、と提案致します。
このことは、やはり区立幼稚園はそのままであってほしい、と願う区民の方々の気持ちも、私どもとしては理解しておりますし、また施設の規模からしても自ずと限界があろうかと思われるからです。
ここで、幼稚園と保育園とでは、一体何がどのように違って、一元化にしようとした場合、何が課題となるのか?について、パネルを使って整理したいと思います。
(パネル使用・・・保育所と幼稚園との違いを確認する)
ただいま、述べましたように、一元化を考えた場合、一番問題となるのが、人員配置と調理室、だと思います。
11月15日、ちょうど2週間前ですが、に開かれた、国レベルでの「総合施設に関する合同の検討会議」によると、「施設整備や職員配置は保育所の基準を念頭に置くのが望ましいのではないか」、という意見が出ています。
人員配置については、会派としても、円滑な移行ができるまでは、保育の人員配置に合わせる、つまり、手厚い方に合わせて行なうべきではないか、と提案致します。
そうすることで、よりよい環境を子どもたちに用意する、という世田谷区の姿勢を示すべきではないでしょうか。もちろん、いろいろな局面で見直しが必要になってくると思いますが、その時には、対症療法的な手当てに留まらず、幼児教育や保育全体の環境整備というところをとらえて、きちんと整合性のある、世田谷区としての方針を出していただきたいと思います。
また、調理室については、保育機能を持たせるのであれば、当然、必要だと考えます。もし、区立幼稚園の時のように、お弁当がいい、という保護者の要望があるなら、選べるように配慮することが望ましいと考えます。
さらに、規制緩和という時代背景もありますし、子育て中の保護者にとって、この他にも、利便性の高い、柔軟な対応をしていただきたい、と思いますが、一例としては、今、区立幼稚園では、送迎には自転車を使わないで、歩いて来るように、と指導されています。けれども、実態は、自転車を使っている人も多く、「歩いて行く」という原則が崩れている部分があるようです。
ささいな事かも知れませんが、新型施設においては、私自身も子どもを送り迎えした経験から、自転車での送り迎えの解禁など、登園手段についても考慮していただきたい、と思います。
他会派の質問の答弁で、すでに、いくつか検討項目があげられましたが、より具体的に、区の検討状況について、担当助役からお聞かせ下さい。
もうひとつ、現在、官から民への大きな流れの中で課題として出ているのが、区立保育園の民営化、です。
せたがや政策会議と致しましては、これまで述べてまいりましたように、民間でできることは民間に移行するべき、それは時代の流れとして致し方のないことと理解しております。
また会派として、公務員制度の改革や、制度疲労に手をつけないままの、安易な保育料値上げには断固反対の立場であることを、明言しておきます。現状のまま、工夫や制度の見直しに着手しなければ、これ以上区民ニーズに応えられない、つまり、待機児がさらに増えるか、あるいは、保育料の値上げに直面するでしょう。どちらも区民にとって望ましくないことと思います。
そういう意味で、区立保育園の民営化には、推進の立場をとっておりますが、しかし、絶対に見落としてならないのは「質の確保」である、ということです。それは、移行にあたっての最大の留意事項です。
そのためには、他区でうまくいっていない事例の轍を踏まないように、準備時間、引継ぎ時間を十分に確保する、ということが、最優先のポイントだと考えます。選定に時間をかけ、慣れる時間を十分に確保し、保護者の皆さんとの意見交換もしっかりできるように、何においても実務的な時間を押さえる必要があります。
区としては、「質の確保」のために、今後、どのようなスケジュールを考えているのか、お答え下さい。
3 けやきネットについて
次に、けやきネットについて伺います。
他会派の質問で、けやきネットについては、「年度内実施を目標に、改革に向けた検討を行なっている」、という答弁が出されていますが、この件につきましては、我々「せたがや政策会議」でも、「地域優先枠を設けた改革を」ということを質問に取り上げてきておりますので、今一度、その点について、お答えをお願い致します。
また、平成20年3月までの「システム機器のリース契約」終了後には、どのようにするのか?抜本的な改革が必要であり、今から検討を始めなければならない、ということも、先の定例会において、会派の上島議員から質問しております。次世代のけやきネットの、具体的な検討内容について、いつまでに結論が出せるのか?タイムスケジュールをお聞かせ下さい。
4 先進技術と行政の可能性
最後に、先進技術と行政の可能性、ということで2点質問致します。
民間では、タクシー版のフライトレコーダーともいうべき「ドライブレコーダー」を開発しています。
これは、常にドライバーの視点から、周囲の状況を記録し、衝突、急ブレーキ、急ハンドルなど、一定以上の衝撃が加わると、その前後も含めて、映像が残り、警告音が発せられる、というものです。
当初は、迅速で公正な事故処理が、主な目的だったようですが、ドライバーの安全運転の意識が高まり、事故の未然防止にも効果があがったと伺っております。
そこで質問ですが、すでに、国の方でも、取り組みを開始した、ということですし、世田谷区においても、こういった装置を、事故の多い清掃車を含む、公用車にとりつけてはいかがでしょうか?見解をお聞かせ下さい。
今、申し上げたことは、先進技術の一例ですが、今や、ITを含め、あらゆる分野での技術革新は、日々刻々と進歩しています。
こうした先進技術を、区も積極的に取り入れ、区民サービスを向上させ、効率化を図り、さらに行財政改革に取り組むべきである、と考えます。今後の都市間競争や、地震、水害等の防災も含め、技術革新の情報と積極的な導入は、組織の、まさに死命を制することにつながると思われます。
その際重要なのは、新技術の導入について、常に研究し、主体的にリードする所管部署を設け、組織的に取り組むことではないかと、思いますが、区の見解を伺いまして、壇上からの質問を終わります。
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