2004年 第2回定例会 田中優子 の一般質問 6月10日
※この原稿は質問の元としているもので、実際話したもの(議事録になるもの)とは多少異なる部分があります。
(壇上での質問)
通告に基づき、順次質問してまいります。
「保育」も「介護」も「障がい者施策」も、これまでの「措置制度」から「契約制度」へ、と変わり、救済的な考えから始まった福祉施策が、社会状況の変化とともに、質の向上が求められ、サービスとして構築されてきています。 更に言えば、例えば、他の自治体で「女性専門外来」が、大変好評を博しているように、あるいは、介護の現場において、おむつ交換など、女性は女性の介護士にやってもらいたい、という「同性による介護」が希望されるように、今後、福祉サービスに期待されることとして、ただ、面倒をみてもらえればいい、必要なサービスが施されていればいい、ということでは済まされず、心のケアを伴うような、より繊細なものが求められている時代になっているのではないか、と感じます。それに対して、区はどのようにお考えか、お聞かせ下さい。 次に、その「繊細なサービス」、ということに関連して、子育て支援の具体的な施策に移りますが、「預ける理由を問わない一時的保育サービス」を実施してはどうか、ということを、一昨年に引き続き、再び、提案致します。 子育て支援、保育サービスは、主に仕事を持つ女性への支援、に結びついていました。今でも、保育園の待機児が90名出ている、ということですので、それはそれで早急に対応し、解決を図って頂きたいと思います。 一方で、在宅で子育てをしている方々への支援も、必要な課題です。 今の若い人たちは、わがままだ、とか、もっと家庭がしっかりすべきだ、とか、がまんが足りない、と、言うのは簡単ですが、しかし、それを言っていても、問題は解決できません。今はもう、そんなことを言っている段階ではなく、先に述べましたように、繊細な部分、心の内側に入ったケアで、手を差し伸べることが必要だ、と思うのです。 例えば、在宅で子育てを専業にしている人にとって、ほんのひととき、育児から解放されて、休息できたら、どんなに元気になれることでしょうか。 この提案は、残念なことに世田谷区ではなく、品川区において実現しておりまして、今月から、「オアシスルーム」という名前の「生活支援型一時保育」が、品川区では始まっています。 つい先日、この制度の紹介と利用者の感想などが、報道されていましたが、「資格試験を受けようと思っているのですが、子どもがいるとまとまった時間勉強することができないので助かりました」ということをはじめとし、歯医者、買い物、映画、美容院、と理由は様々ですが、大好評のようです。 「それらは、子どもといい距離を保ってもらうために必要なこと。気持ちを新たにして子育てに向かってほしい」という、品川区の一時預かりをしている園長先生の言葉が印象的でした。 これは、決して、税金の無駄遣いの発想ではありません。毎日リフレッシュにお出かけください、というような手厚いサービスを提供しろ、ということではなく、子育て専業の人であっても、たまにはリフレッシュしていいんですよ、というきっかけづくりを、行政として提供すべきではないか、という提案なのです。 もし、もっと休息が必要だ、という人には、社会福祉協議会が行なっている「ふれあい子育て」のサービスにつなげる、とか、あとは民間の保育室などのサービスを利用してもらえばいいわけで、「ほんのひととき、子どもと離れることで、育児のストレスが解消され元気になれる、また子どもと健全にむき合える、育児が楽しく感じられる」、ということを体験してもらい、無理して閉塞的な子育てを続けるよりは、「休息してもいいんだ」「自分の時間を持ってリフレッシュすることは罪ではないのだ」と思えること、そのきっかけを提供すべきだ、ということなのです。そして、それが、育児ノイローゼや、子どもの虐待を防ぐ、とても大切なことにつながる、という提案です。 場所の提供などを工夫して、人の手当てのために少しの予算を措置することで、世田谷区全体の、子育て中のたくさんのお母さんたちの意識が変わり、救われれば、費用対効果を考えても、十分評価に値する施策となると思います。 それだけでなく、専門家である保育士さんの目で 世田谷区では、トップが代わり、新たに子ども部、というものが設置されました。区の施策が、より、区民のためになり、区民が有難い、と実感できるような行政サービスとなるよう、期待されるところですが、そういう願いを込めて、改めて、区の見解を伺いたいと思います。
私は、平成12年6月議会において、部活動が抱える諸問題を指摘し、今後、部活動をどのように支援していくのか?ということを質問しております。 そのときは津吹教育長から、「検討委員会を設けて、今後の部活動のあり方を検討する」という答弁がありました。その結果、その翌年から、外部指導員というものが制度化され、謝礼も予算化された、という経緯をたどってきました。 今思うと、あの時、外部指導員制度を導入したことは、大変な英断だった、と、高く評価致します。 それはつまり、部活は学校の先生が指導してこそ効果があることなのだ。言い換えれば、教員でなければだめである、という呪縛から解き放たれるきっかけになっている、と思うからです。 今回、私は、指導課を通して、部活動の現状について、全区立中学校に聞き取り調査をしていただきましたが、どの学校も、何らかの問題を抱えており、苦労していて、外部指導員制度はとても助かっている、ということがわかりました。 そこで、この外部指導員、ですが、ぜひとも、区内大学の学生の活用を、制度として導入できるようにして頂きたい、と提案いたします。 実際、この春、ある中学校で、外部指導員をみつけなければ、新入生をとらずに廃部にする、という話が出て、保護者が必死に指導員を探している時に、学生を部活動に派遣しましょう、と言ってくれる大学が見つかりました。しかしながら、現段階では、区内の大学生の活用、という、区としてのシステムがないために、学校とうまくつながらず、実現できなかった、ということがありました。これなどは、本当に残念な話だと思います。 昨日の、区長の招集挨拶にもありましたが、世田谷区としても大学との連携については、学長懇談会を開くなど、積極的に行なっていく、ということですし、大学生という貴重な人材資源を活用させてもらえるようなシステム、制度、というものを早急に構築し、外部指導員の強化を図るべきだと思います。教育委員会としての見解をお聞かせ下さい。 以上で、壇上からの質問を終わります。
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(答弁趣旨) ※議事録とは多少異なる部分があります 山田真貴子・助役 ただいま田中議員から、これからの行政の保健福祉サービスのあり方として、利用者本意であるべきというご意見をいただきました。私も大いに共感するところがございます。 社会福祉基礎構造改革が進む中で、従来の措置のように、与えられる福祉から、サービスを必要とする利用者が、事業者と対等の立場でサービスを選択し利用するという仕組みに大きく転換してまいりました。ここで重要なのは、人権や尊厳を守ること、サービスの質の確保、権利擁護等、利用者の立場でのきめ細かな心遣いであると思います。 現在の区の状況を申しますと、障害者施設では、同性介護を基本としております。また、特養ホームでも、さらに保育施設においても、個々の状況に応じて、利用者の尊厳を守るとともに、利用者本意のサービスを提供する等、必ずしもすべて行き届いてはいませんが、きめ細かな対応や接遇を心がけております。 お話は貴重なご提案と受け止めさせていただき、今後の保健福祉の総合計画づくりに反映させるだけでなく、日々の職務・事業執行の中でも心がけてまいります。
田中茂・子ども部長 家庭や地域社会の子育て機能が低下し、子どもを巡る様々な問題が深刻化している中で、子育て不安の解消や、児童虐待の防止など、地域における子育て機能の再構築が必要となっており、中でも、在宅の子育て世帯に対する支援も重要な状況になってきている、と認識しております。 他区でスタートした「生活支援型一時保育」は、一部の区立保育園で6月1日からスタートしたものですが、仕事以外の理由で、年間一人50日まで、朝8時半〜夕方5時半まで、1時間500円で預かる、というものです。自宅で育児に専念している親にとっては、余裕を持ち子育てをしていくための有効な手段の一つであると思います。 現在、世田谷区では、社会福祉協議会の「ふれあい子育て事業」で、こうしたニーズに対応しているところですが、今後、区が取りくんでいる一時保育事業や既存の保育サービス施設を活用しながら、在宅子育て支援の多様な方策を検討・実施してまいります。
高山博・教育政策担当部長 部活動は、魅力ある学校づくりを推進するために不可欠なものであり、生徒・保護者からの期待も大きいことから、学校生活の重要な活動と位置づけています。 教育委員会としては、200名を超える部活動の外部指導員を確保し、部活動の充実、活性化に向けて、積極的に支援を進めてきました。 しかしながら、学校の小規模化や顧問不足等から、部活動は大きな壁にぶつかっており、安定的、効果的な活動を確保するための新たな支援、方策も必要となってきています。 区内には、日本を代表する体育系の大学や、様々な文科系の学部を擁する大学が多数あることから、大学との連携・協力関係を一層強め、大学の教育資源を活用して、部活動の指導やサポート等、部活動の活性化を図るため取りくんでまいります。
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(自席からの再質問) 「理由を問わない一時的預かり保育サービス」については、検討・実施していく、ということで、大変心強く思います。できるだけ早く実施できるよう、進めて頂きたいと要望致します。 それから、今後の、部活動はどうなっていくのか?ということですが、学校現場をよくご存知の若井田教育長に伺います。 私は、今のように、外部指導員を派遣して、子どもたちの活動を確保し、保障していこう、ということは、大変いいことだと思いますが、ある種、対症療法的ですし、それが続けば、いずれ、部活動は学校の教員でなくてもいい、ということになるのではないか、と思います。 試合に参加する時の、中体連の対応など、諸課題はありますが、それも、実態に即して変わっていくと考えます。 将来的には、会派の代表質問でも触れておりますが、東深沢中学校を拠点に行なわれている「総合型地域スポーツクラブ」、こういうものが部活動に代わって、子どもたちの活動の場を、地域の人々と共に補償していけばいいのではないか、と思います。 指導技術のある教員には、そこで一緒に関わってもらえれば、より、地域と学校との連携が進むでしょう。 一方、競技スポーツとしての部活に関しては、別の形で一部残るかもしれませんが、いずれにしても、こうした状況を踏まえて、今後の中学校における部活動はどのような方向性で進めばよいのか、という将来展望を描いておく必要があるのではないか、と思います。それについて教育長はどのようにお考えか、お聞かせ下さい。 |
(答弁趣旨) 若井田正文・教育長 (再質問のため答弁書がないので聞き取った部分のみ掲載します。速記録を入手した後に改めて入力します) ・部活動は、人間形成・学校生活の充実・教師との信頼関係を築く上で重要 |